安倍安人ABE Anjin
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1938出生
安倍安人、この名前は現代備前陶を語る上で欠くことはできない、偉大な人物である。独自の焼成理論にもとづき、金属質の光沢を放つ備前の焼き肌を追求し、国内のみならず、海外でも高く評価され数多の美術館(世界最大級といわれるニューヨーク・メトロポリタン美術館も含む)に作品が収蔵されている。その作品の魅力は唯一無二の個性を放ち、現代を生きる我々を鋭く刺激し、瞬く間に安倍安人その人の世界にいざなわれてしまう。近年では、何度も焼成することにより、しっかり焼絞められた備前の肌合いに、彩色が施された「彩色備前」を制作し、注目を浴びている。胴の周りに富士山や草花、昆虫などの絵画的なへら彫りの模様が刻み込まれた「彩色備前」の水指は、伝統的な備前焼に西洋に通じる油絵のようなマチエールを融合することにより、より力強く自己の存在をアピールする。古備前を深く知り彩色備前へ、静から動へ安倍安人、創造者である彼の造り出す作品一つ一つは目を離すことができないほど強烈で、一度好きになったら二度と離れられなくなるほどの強烈な魅力を放つ逸品である。